執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「……お前、さっき俺をからかって遊ぼうとしてただろ?」

「以外と悪い気分ではありませんでした」

ふふんとほんのり目もとを緩め、美都もマルゲリータを頬張る。トマトの酸味とチーズのコク、バジルの爽やかな香りが絡み合っておいしい。

すると、哉明が狡猾な笑みを浮かべて囁いた。

「今夜はかわいがってやるから、楽しみにしてろよ?」

美都がゲフッとむせる。かわいがるとは――たぶん……そういう意味なのだろう。

「そ、それとこれとは別ではありませんか?」

「生意気にも俺をからかおうとした罰だ。倍にしてかわいがってやる」

まさか煽ってしまうとは。あらぬことを想像して顔が火照る。

新婚初夜も『思う存分』などと言いながら、かなり激しく抱き尽くされたはずだが。あれ以上、美都の想像力では及ばないようななにかを企んでいるのだろうか。

(ちょっと怖くなってきた……)

哉明をからかおうなんて思わなければよかった。今さらそんな後悔をしながらパスタを口に運んだ。


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