執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
クリスタルのバージンロードに、真っ白な祭壇、周囲に広がるのは青い海だ。なんて幻想的で美しいのだろうと息をつく。

しかし、哉明は美都の隣に座ると、頭に手を載せてじっと覗き込んだ。

「本当にそれだけでいいのか? 国内で、みんなを招待した式も挙げられるんだぞ? ふたりきりの挙式はハネムーン中に別途挙げてもいい」

ドキリとして唇を引き結ぶ。

国内と海外の両方で挙式だなんて、贅沢すぎではないだろうか。

だが、これまで世話になった方々に挨拶をしたい気持ちはあるし、花嫁姿を両親にも見せたい。杏樹にはぜひ見てもらいたい……!

青い海の上での挙式も憧れるし、どちらか一方だなんて悩ましい。

「神様に二回も愛を誓うことになっちゃいますよ?」

「何回だって誓えばいい。誓う内容は変わらないんだから」

「国内で人を招いて式を挙げると、結構大変ですよね。お仕事だって忙しいのに」

哉明は式の準備が面倒だと思うかもしれない――反応をうかがうと、彼はとくに異論もないようで、のんびりと背中をもたれた。

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