執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「人生の中で自分が主役になれる日なんて、なかなかない。だが、結婚式は間違いなく美都が主役だ。やりたいようにやるべきだ」

背中を押すような哉明の言葉が、じんと胸に響く。

「……それを言うなら、哉明さんだって主役ですよ?」

「俺はいつどこにいたって主役だと思って生きてるからいいんだよ」

「すごいふてぶてしさ」

「普段謙虚に生きてる美都こそ主役になっておけ。口実がなきゃ、わがまま言えない質だろう」

確かに美都はこれまでの人生で自分が主役だなどと思ったことはない。

きっとあとにも先にも、これきりだろう。自分が主役になれる機会は。

「では、日頃からお世話になっている方々を式にお招きして、お礼を言えたらな、と……」

「礼儀正しい美都らしい。……なら、式は都内がいいな。ハネムーンは別途考えるとして、まずは式場を決めよう」

そう言って哉明は、広めの会場で披露宴ができるプランをピックアップしていく。

「和装がいい? それとも洋装?」

「ウエディングドレスは着てみたいです。和装も気になりますけど……」

「じゃ、両方な」

「えっ」

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