執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明がさも当然といった顔で、美都の手もとのマグカップを指さした。

当人はすごく真剣な顔をしているが、騙されている気がしなくもない。

「……それ、適当に言ってますよね?」

「そんなことない。その辺の夫婦に聞いてみろ、混浴したことありますかって」

「そんな恥ずかしい質問できるわけないじゃありませんか」

たとえば杏樹に聞いたなら――。

(ダメだ、哉明さんに賛同しちゃいそう)

『一緒に楽しんで』と高級アロマトリートメントを手渡すくらいだ。

「まあ、美都がどうしても嫌だって言うなら、無理強いはしないが」

キッチンカウンターに頬杖をつきながらこちらを覗き込んでくる。

押してダメそうなので引いてみたのだろう。そうやって遠慮がちにされるのが、どうにも美都は苦手だ。




「哉明さん、絶対に見ちゃだめですからね?」

薄暗いバスルーム、体にタオルを巻き胸もとを押さえて哉明を見上げる。彼も一応、腰にタオルを巻いてくれている。

照明は限界まで落としているが、おかげでお互いのシルエットがくっきりと浮かび上がって、余計にいやらしい感じがしなくもない。

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