執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明が牧師に尋ねると、彼は笑顔で頷いた。

祭壇を降り、美都のもとまでやってきて手を差し伸べる。

哉明の気高い眼差しはピュアなホワイトに彩られ、普段より優しげに見えた。

「楽しんでいるか?」

美都の手を取り、ゆっくりと歩き出す。

「はい……お化粧したり、ドレスを着たりしているうちに、なんだか感極まってきてしまって」

このぎくしゃくは緊張ではない、感動を堪えているのだと理解して、哉明はなるほどと得心した。

「いっそ泣いてもいいぞ?」

「嫌です。出だしから顔がぐしゃぐしゃだなんて」

一生の記念となるウエディングフォトの撮影だ、できる限り綺麗な顔で写りたいと願うのは女子として当然だろう。

すると哉明はなにかを思いついたようで「じゃあ、涙を吹き飛ばすしかないな」と呟いて屈んだ。

次の瞬間、美都の体がふわりと浮き上がる。哉明が美都を横抱きにしたのだ。

「きゃあっ」

強張った顔が驚きに変わる。

ようやく表情が解れた美都を、哉明は満足そうに見つめながら、悠然と祭壇を上っていった。

「見てみろ」

祭壇の奥を視線で指し示す。透明なガラス窓からは、真っ青な海と空が広がっていた。

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