執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「綺麗……」

側面の大窓から日の光が燦燦と降り注ぎ、天井と客席の白に反射して、辺りは目が眩むほど輝いている。

こんなにも神秘的で美しい光景を見たことがない。ふんわりと、美都の顔に笑みが浮かぶ。

ようやく楽しむ余裕が生まれたのを確認して、哉明は美都を祭壇の前に下ろした。

ふたりの様子を見つめていた牧師がにっこりと微笑み、誓いの言葉を述べ始める。

哉明は流暢な英語で、美都はそのあとをたどたどしく復唱しながら誓い合い、キスを交わす。

式のあとはチャペルを出て、真っ白い砂浜をふたりで歩いた。柔らかな風がドレスの裾をさらって、白い花のように舞い上げる。

カメラマンがふたりの笑顔を撮ろうと構えているが、美都はまた澄まし顔に戻ってしまった。

「この辺でひとつ笑顔を作って、カメラマンを安心させてやったらいいんじゃないか?」

「簡単に言いますけど、笑顔を作るって難しいんですよ?」

一応頑張って口角を上げてみるが、ぎこちない。百歩譲ってはにかんでいるように見えなくもないが、目が据わっている。

「俺がどうにかするしかないか」

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