執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明はふうと息をついて美都に向き直ると、真面目な顔で膝をつき、美都の左手を持ち上げた。

「か、哉明さん?」

突然膝をついた哉明に驚いて声をあげるも、真摯な瞳に吸い込まれるかのように押し黙った。

「俺は以前、美都を運命の女性だと言ったよな。神様を信じるような人間じゃないが、それでもこの出会いは奇跡と呼んでいいと思ってる」

美都にとっても人生を変える必要不可欠な出会いだった。

それを人は奇跡と、運命と呼ぶのだろう。目の前の真摯な眼差しに向けて、美都はこくりと頷く。

「君は誰より真っ直ぐで、純粋で、高潔な人だ。俺が持ち合わせていない美しさを、たくさん持っている」

普段なら〝お前〟と乱暴に呼ぶのに、突然〝君〟と呼ばれたから、どきりとした。

哉明は美都の左手を口もとに掲げ、結婚指輪にそっと口づけをする。

「君を妻に迎えられたのは、俺の人生で一番の幸福だ」

じんと胸が熱くなり、喉が詰まった。そこまで大切に思ってもらえていたとは気づかなくて。

「愛している。美都。俺とともに生きてほしい」

視界がじわりと滲んで、溢れ出た涙が頬を伝っていった。

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