執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
笑わせようとしてくれていたのではないのか。こんなことを言われたら、泣くに決まっているのに。

「ほら。笑えって」

「笑える……わけ……ないじゃありませんか。なに泣かしにかかってるんですか」

指先で頬の涙を拭う。せっかくのメイクがぐしゃぐしゃだ。

哉明は笑みを漏らすと、美都の太ももの裏に手を回し、再び横抱きにした。

太陽が西日に変わる。オレンジ色の強い光を受けて、彼の笑顔が輝きを増す。

「プロポーズの返事は?」

「そんなの。嬉しすぎて……幸せすぎて」

ほろほろと涙をこぼしながらも、笑みが溢れた。

人は幸せを感じると、ちゃんと笑えるようにできているらしい。

「似合わないプロポーズを一生懸命頑張ったんだ。ご褒美をくれよ」

「自分からご褒美をねだる人なんていません」

お仕置きのごとく彼の両頬を挟み込む。その表情もまたおもしろくて、今度こそ「あはは」と声をあげて笑った。

「私も。大好きです。愛してます」

彼の頬に手を添えたまま、その唇にキスを落とす。



後日仕上がったウエディングフォトブックには、哉明に抱き上げられ満面の笑みを浮かべる美都の姿。

その目にはキラキラと幸せそうな涙が輝いていた。







【END】
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