執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
領収書を持ってやってきたスタッフに、哉明がカードを渡そうとする。

「あ、待ってください! ここは私が」

「このくらい払わせろ」

「ですが、今日はお礼をするために――」

そう言いかけてはたと止まった。警察官にコーヒーをご馳走すると贈収賄になるだろうか。

「君が俺と結婚してくれるなら、おごってもらうが?」

「……割り勘にしてください」

「格好悪いからやめてくれ」

結局、哉明がカードを出して会計を済ませる。

このあと、どこへ連れていかれるのだろう。美都は案内されるがまま彼のあとについていった。



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