執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
一瞬耳を疑った。まさか、出会ったその日にお持ち帰りされてしまうとは。

いや、厳密には初対面ではないのだけれど――それにしても、あまりにも急だ。

(警戒……した方がいいのかしら?)

無意識のうちに考えが行動に出てしまい、気づけば自身の両肩を抱きしめていた。

「お。今、身の危険を感じたな? 現役警察官が女性を家に連れ込んで無理やりどうこうなんてするわけないだろ。クビが飛ぶ」

哉明が運転しながら横目で美都を睨む。

「では、どうして家に」

「見せておいた方がいいだろう。一緒に暮らすかもしれないんだから」

まさか婚約を了承したと思われているのだろうか? それとも、意地でも了承させてやろうと思っている?

なぜ彼が自分に執着するのか、美都にはさっぱりわからない。

「……獅子峰さん、モテますよね?」

尋ねると、哉明は「は?」と眉をひそめた。

「帝東大出身のキャリアですもんね。女性に好かれそうな見た目もしていますし」

「……それがどうした?」

「わざわざ私と婚約しなくても、素敵な女性はたくさんいるんじゃないでしょうか」

< 39 / 257 >

この作品をシェア

pagetop