執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
無理に美都を口説き落とさなくても、勝手に落ちてくる女性がたくさんいるだろう。

尋ねると、哉明は大きく息をついた。

「その質問の意図は『私のどこが好きなの?』で合ってるか?」

「えっ……」

「それとも『あなたは浮気性?』って聞いてる?」

あんぐりして哉明を見返す。美都が哉明に好意を持っている前提で聞いてくるあたり、憎たらしい。

「変に勘繰らないでください。今の質問の意図は『私である必要性はありますか?』です」

「イエスだ」

「〇×問題ではなく、記述式です。しっかり回答欄を埋めてください」

「……何文字書けばいいんだ?」

ふう、と一息ついたあと、哉明は霞が関から程近いタワーマンションの地下駐車場に入り、車を停めた。

「強いて言うなら〝父親を安心させたい〟かな。いや〝父親に恩を返したい〟か」

「お父様?」

「父は経営者なんだ。家電メーカーの『LEO』って知ってるか?」

「もちろん知ってますが……」

知らない人はまずいないであろう有名な電機メーカーである。

美都のプライベートPCもLEO製だ。なんなら、家のエアコンや冷蔵庫もそうだったはず。

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