執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
警察は上下関係に鬼のように厳しい組織であるから、哉明が命令すれば、警視庁の人間はよほどのことがない限り拒否権はない。

(警視庁への出向が決まったときは、もしかしたら獅子峰さんを見かけることもあるかな、と期待したんだけれど……)

よくよく考えてみれば、名門帝東大卒ならキャリア組、つまり警察庁の人間だ。警視庁の中では、よほどの強運でもない限り会えない。

「で、そろそろお宅紹介に移ってもいいか?」

そう言って哉明が案内したのは、リビングだ。

カウンターキッチンにダイニングテーブル、ソファスペースなどをゆったりと配置してもあまりある広々とした空間。

ウッドブラインドの奥は一面の窓で、スラットの隙間から壮観な眺望が見える。

インテリアはスタイリッシュなモノトーン。ブラックのカーペットにホワイトのソファ、高級感漂うストーン素材のローテーブル。その天井にはデザイン性の高いペンダントライト。

美都は軽く感動して目をぱちぱちと瞬かせた。まるで雑誌や映画で使われるセットのように整った部屋だ。

「オシャレなおうちですね」

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