執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
ひと言で表すとそうなるのだが、随分チープな響きになってしまったなあと後悔する。

ただのオシャレではなく類を見ないオシャレ。補足するなら『女子の憧れ』だろうか。

こんな空間で生活しているなんて羨ましいが過ぎる。

「気に入らない? 少し色合いが暗いか?」

哉明が覗き込んでくる。相変わらず美都の顔がスンとして見えたのだろう。

「素敵だと思ってますよ」

美都の心が躍っているのは、外から見ても伝わらない。

淡々と答える様子を、哉明はまじまじと眺めながら「なるほどな」と頷く。いったいなにを得心したのだろう……?

「嫌なら模様替えするが」

「なぜ私に聞くんです?」

「一緒に暮らすだろう?」

「……婚約については、まだひと言もイエスと言っていません」

素敵な家だし住みたいとも思うが、それを理由に婚約するかと言えば違うだろう。

なぜ彼はこんなにも結婚に前のめりなのだろうか。これほど美都が及び腰なのに、あきらめないところがまたすごい。

< 47 / 257 >

この作品をシェア

pagetop