執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「獅子峰さんが、私との結婚にメリットを感じてくださっているのはわかりました。職場での評価も汲んでいただきありがたいです。ですが、その評価はあくまで他人がしたものであって、獅子峰さん自身は私をよくご存じない」

人間には相性というものがある。いくら素行のいい人間だからって、気が合わなければ一緒にいても苦痛だろう。

「いざ生活をともにしてみたら、おもしろみがなくてつまらない女だったという可能性は大いにあります。むしろ、それしか想像できません」

「安心しろ。君はおもしろい」

「なにを根拠に」

「見ていて飽きない」

美都は目を丸くする。おもしろいだなんて、生まれて初めて言われた。

「じゃあ、逆にだ。君にとっての結婚するメリットと結婚しないメリットを考えてみろ」

哉明が自信満々に人差し指を立てる。

「結婚するメリットは、まず両親が安心する。経済的、将来的にも安定する。職場も近くなるし、ここの設備も悪くはないだろう。家庭を持ちたいなら絶好のチャンスだ、恋愛などの面倒なステップが省けるからな」

指折り数える哉明を眺めながら眉をひそめる。

< 48 / 257 >

この作品をシェア

pagetop