執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「逆に、君にとって結婚しないメリットはなんだ? もっと自由でいたい? 自分の時間が欲しい? あるいは、今後俺以上にスペックのいい男に出会えるかもしれない?」

「いえ。あなた以上にスペックのいい男性なんて出会えないでしょう」

そこだけは即答できる。

「お義母さんに頼めばいくらでも紹介してもらえるんじゃないか?」

「これ以上、縁談を受けるつもりはありません。そもそも、今までもずっとお断りしてきましたし」

すると、哉明はしてやったりという顔でにやりと笑った。

「結婚するメリットが増えたな。俺と結婚すれば縁談地獄から解放される」

それは魅力的かもしれない……。義母の詮索も減るだろう。

無言で悩んでいると、哉明は三本指を立てて、美都の前に突きつけた。

「三日間やる。プロポーズの答えを聞かせろ」

「短! 一生のことなんですから、もっとしっかり考えさせてください」

「三日で決められないなら、それ以上グダグダ悩んでても無駄なんだよ。俺なら三分悩めば充分だ」

なるほど、哉明も一応は美都との結婚を悩んだらしい。三分間。

……そういう割り切りのよさがキャリアたる所以だろうか。

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