執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明がくくっと笑う。ティーポットにお湯を注ぎながら、思いついたように切り出した。

「食器を買い足した方がいいな。美都。来週の日曜日、用事はあるか?」

「いえ。とくには」

「なら、買い物に行こう。必要なものがあればリストアップしておいてくれ」

哉明の申し出に少々戸惑いつつも、「ありがとうございます」と一礼する。

「料理はするか? 一応器具はひと通り揃っているとは思うんだが」

そう言ってシンクの下の引き出しを開けると、中にはピカピカの鍋やフライパン、包丁が並んでいた。

「使われた形跡がありませんね」

「使ってないからな」

「仕事が忙しくて自炊ができないという意味ですか? それとも自炊が嫌い?」

「両方だ」

なるほどと美都は嘆息する。まあ、体つきがひょろひょろだったら、なにを食べているのだろうと心配にもなるが、がっしりしているところを見ると、それなりのものを食べてはいるのだろう。

「あー、催促しているわけじゃないからな。代わりに自炊してくれとか、俺の分を用意しろとか言うつもりはない」

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