執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
洋服を段ボールに詰めてこの家に運んできたので、皺がついてしまったのだ。

今週着る予定のシャツ、ハンカチを半分済ませたところで、ふと哉明にも声をかけてみようかと思い立った。

アイロンをかけたいものがあるかもしれない。大した手間ではないし、一緒にやってしまった方が効率的だ。

自室を出てリビングに向かい「哉明さん」そう呼びかけたところで硬直した。

キッチンに上裸の哉明が立っていたのだ。

首からタオルをかけていて、髪からは水が滴っている。どうやら風呂上がりのようだ。

カウンターが邪魔していて、下半身は見えない……。

(ま、まさかなにも穿いてないということはないわよね?)

パンツぐらいは穿いているだろう。いや、パンツだけというのも大問題ではあるが。ボトムスを穿いてくれてますように。

慌ててうしろを向くと「どうした」と足音が近づいてきた。

「いえ。なにかアイロンをかけるものはあるかと。ついでだったので」

「あー……全部クリーニングに出すからとくにないな。美都も出すものがあるなら言え」

「わ、私は、洗濯機で大丈夫ですからおかまいなくっ」

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