執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
飄々として見えるのに面倒見のよい一面があるのは確かだ。

(昔から哉明さんは、そういう人だった……)

なにも言わずに美都を見守り続けてくれた彼。息をするように人助けをする、真っ直ぐな人。

なんだかんだ言っても、美都は哉明を尊敬している。

アイロンを終わらせて、ピンと伸びたシャツをハンガーにかけた。

少しずつふたりなりの生活を模索していかなければならない。それを心地よいと感じたそのときは――。

まだなんの実感も湧かないけれど、もしかしたら永遠を約束する日が来るのかもしれない。



美都には朝のルーティンがある。六時に起床してまず水を一杯。そして十五分間のヨガ。

ヨガは独学で、ポーズに細かいこだわりがあるわけではない。筋肉を伸ばして血行をよくすると同時に、心を落ち着けて今日一日に備えるのが目的だ。

自室でこっそりやるつもりだったが、リビングで早朝の都心を見下ろしながら体をほぐすのも気持ちがよさそうだと思った。

美都の部屋は窓が腰の高さまであるので、ヨガをしながらでは外が見えないのだ。

対して、リビングの大開口窓は座っていても景色が見える。

< 77 / 257 >

この作品をシェア

pagetop