執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
美都は部屋着のまま、ヨガマットを引っ張ってリビングに向かった。

哉明に見られたら恥ずかしいが、起床は七時頃だと言っていたから大丈夫だろう。

ブラインドを開けると外はすでに明るく、優しい色みの青空が広がっていた。

窓際にマットを敷いて、まずは胡坐の姿勢から。脚を組み背筋をピンと伸ばし、ゆっくりと呼吸を整えていく。

体を伸ばしたり、脱力したり。四つん這いになったり、腰を高く上げたり――十分程度経ったところで、ふと視線に気づき振り向いた。

いつの間にかリビングの入口に哉明が立っていて、壁に背中をもたれて腕を組み、美都をじっと見つめていたのだ。

幾度か目を瞬かせ彼を見つめると。

「美しいな」

無表情のままぽつりと漏らし、美都をじっと見つめ返してきた。

「っ、こんな場所で失礼しました。今、片付けますので」

「いや、いい。続けてくれ。目の保養にもなるし」

(保養……?)

疑問には思ったが、続けてくれと言われたのだから、続けるしかない。

引き続きルーティンをこなしてみる。

(……視線が気になって集中できない)

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