執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明はつまらなそうに息をついて、キッチンに入っていく。

「夕べ、部屋に来てくれなかったな。悲しいんだが」

(むしろ、どうして来ると思ったの?)

呆れる美都をよそに、哉明は冷蔵庫のミネラルウォーターをグラスに開け、飲み始める。言葉とは裏腹にまったく悲しそうではない。またからかっているだけなのだろう。

「……朝食は七時でかまいませんか?」

一応は部屋に来なかった理由を聞きたかったらしく、哉明は「スルーしたな……」と呟いた。

「何時でもいい。なければないで問題ない。普段は食べないから」

「私は食べる派ですので、迷惑でなければ一緒に作らせてもらいます」

「なら、ありがたくいただく。コーヒー淹れるが、お前も飲むか」

「はい。お願いします」

軽くやり取りを交わして朝食の準備を開始する。

昨日買った食材を使って、ご飯、味噌汁、玉子焼き、焼き魚、それから簡単に野菜とフルーツを切る。

哉明はコーヒーメーカーをセットし終えると、ダイニングテーブルに座りテレビを点けた。

ニュース画面には事件の主要トピックスが並んでいる。

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