執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
政治家の汚職問題に、有名芸能人の名前を語った投資詐欺被害、大手企業がサイバー攻撃被害に遭いシステム停止――なんだか物騒だ。

哉明は携帯端末をチェックしながらも、テレビ画面を睨んでいる。そこはやはり警察官、事件のニュースは気にかけているのだろう。

やがて主要なトピックスが終わり、話題がエンタメに移ると、体を反転させて美都の方に目線を移した。

包丁を動かす美都をなぜかじっと見つめている。……落ち着かない。

「……なんですか?」

「いや。今日も真面目に生きてるなと思ってさ」

「……??」

悪い気はしないが、落ち着かないのでそこまで見ないでほしい。

出来上がった料理をダイニングテーブルに運ぶと、哉明はチェアに座りながら「本格的な朝食だな」と感嘆の声をあげた。

「? シンプルな朝食だと思いますけど」

どうも哉明は食事に過剰な反応をする。この人は本当に日々栄養のあるものを食べているのだろうか。やはり心配だ。

いただきます、と声を揃えて食べ始めるが、しばらく経つと哉明が箸を止めた。

「食べ方までいちいち美しいな、お前は」

「え?」

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