執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
思わず美都は動きを止め、手もとを見て、皿の中を見て、どこかに美しいものがあるかを探した。やはり普通だと思うのだが、と首を傾げる。

「姿勢や箸の使い方まできちんとしている。性格が出るな」

「そこまで意識して食べているつもりはないんですが……」

不思議に思いつつも美都は食事を進める。哉明の視線がぐさぐさと刺さってきて、なんだか恥ずかしくなってきた。

「美都を観察していると、まるで違う生き物を見ているみたいで新鮮だ」

「……もうやめてください」

お世辞だかなんだか知らないが、人をそんなにまじまじと見ないでほしい。

美都にしては珍しく、きゅっと背中が丸まって猫背になってしまった。



食事を終えて洗い物を済ませ、リビングを出る。そろそろ出社に向けて身支度を済ませなければ。

自室に入ろうとしたそのとき、「美都」と呼び止められた。

「今夜は何時に帰れるかわからないから、待たなくていい。食事も用意しなくて大丈夫だ」

「わかりました」

「寂しかったら寝室の鍵を開けておけ。今度は俺が行く」

「閉めておきます。いってらっしゃいませ」

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