この結婚は運命ですか?~エリート警視正は清く正しい能面女子に首ったけ~
第四章 あきらめて嫁になれ
美都が現在働いているのは警視庁赤坂庁舎七階。

美都が所属するステラソフトの公共開発事業部は、庁舎内の部屋をひとつ借りて、来年度刷新される犯罪履歴管理システムの開発を行っている。

美都たちエンジニアの仕事は、実際にシステムを使用している警察官の方々から話を聞いて、現行の不満を洗い出し、より使いやすくリニューアルすることだ。

庁舎に入りエレベーターホールに向かうと、先にエレベーターを待っていたのは情報管理課の大須賀だ。

「おはようございます、大須賀さん」

「あ! おはようございます、喜咲さん。今日も一日、よろしくお願いしますね」

大須賀俊介。年齢は今年で三十歳だと言っていた。

笑顔がとても爽やかで、こんな人が交番にいてくれたら心強いなあというタイプの好青年。美都は警察官の鑑だと思っている。

「今日も暑いですね。朝から三十度越えてそうだ」

八月の後半、まだまだ残暑が厳しく、日中は三十五度を超える日も多い。とくに都心部はコンクリートに囲まれているせいか、外気がとても暑い。

「でもサーバー室に入るときは、寒いので気をつけてくださいね。寒暖差で風邪を引かないように」
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