執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない

開いたエレベーターの扉を手で押さえながら大須賀が言う。

美都は「ありがとうございます」と先に乗り込み、パネルの前に立って開くボタンを押した。

「今日はサーバー作業はないので大丈夫です。後ほど、管理課に打ち合わせに伺いますね」

「ああ、そうでしたね。お待ちしています」

大須賀がエレベーターに乗り込んだのを見計らって、閉じるボタンを押す。美都は七階、彼はひとつ上の八階だ。

七階に到着して美都が降りると、扉が閉まる間際に大須賀がぽつりと呟いた。

「朝から喜咲さんとお会いできてよかった。今日は僕、ちょっとついてますね」

返事をする間もなく扉が閉まってしまう。

お疲れ様のひと言でも言えればよかったのだが。少々後悔しながらオフィスに向かう。

オフィスに入ると、すでにステラソフトの社員が何名か出社していた。

ここに常駐している社員は、美都の上司三名と、後輩二名。あとは協力会社の社員が五名いて、全部で十一人体制である。

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