執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
この場所以外にもたくさんのシステムエンジニア、プログラマーが協力してくれていて、プロジェクト全体の人数は百を超える。

この部屋に百人は入り切らないので、ほかのメンバーはセキュリティが厳重な作業場を別途用意して、そこで働いてもらっている。

「おはようございます、喜咲さん」

声をかけてきたのは隣の席の鶴見由奈。ふたつ下の後輩だ。

入社当時は綺麗な茶髪と華やかなネイルをしていたが、ここに配属されてからは黒髪とシンプルネイルに変えた。

ここは客先、しかもお堅い官公庁、派手な格好をするわけにはいかないのだ。

堅苦しくて嫌だと愚痴はこぼしつつも、仕事はきちんとこなすいい後輩だ。

「おはようございます、鶴見さん」

デスクに着くと、鶴見は興味津々といった顔で覗き込んできた。

「喜咲さん、新婚生活はどうですかぁ?」

鶴見には先週のうちに婚約者の家に引っ越すと伝えたのだ。

「新婚ではありません。まだ入籍はしてないので」

「新婚でも同棲でもどっちでもいいですー、ラブラブには変わりないじゃありませんか。羨ましい。行ってきますのチューとかしちゃったりしたんですかあ?」

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