執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明は婚約中に結婚するかどうかを考えろと言っていたが……。

(もしかして、乗せられた……?)

言葉遊びに引っかかったのではないか。そんな不安が脳裏をよぎった。



午前中は情報管理課の方々と今後の運用について打ち合わせをした。

現在稼働しているシステムに不具合があるらしく、急遽修正プログラムを作ることに決まった。二週間後、庁舎内のサーバー室でアップデート作業をする方向で話を進めている。

サーバー室はセキュリティが厳しく、誰でも気軽に入れる場所ではない。事前に入室申請が必要で、ひとりでの作業も禁止。二名以上、そのうち一名は必ず庁舎の職員でなければならない。

同伴役を大須賀に頼もうとしていたが、会議に出席するはずだった彼が急遽別件で呼び出されてしまい欠席。

別の職員に同伴を頼み、打ち合わせを終える。

七階のオフィスに戻る途中、ちょうど戻ってきた大須賀と廊下ですれ違い「喜咲さん!」と呼び止められた。

「会議、出られなくてすみませんでした。不具合対応のメンバーを決めなきゃいけなかったんですよね?」

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