執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「大丈夫です。当日の職員さんについては、本庄主任が別の方を手配してくださいましたので」

大須賀は頭に手を当てて「そうですか……」と少々寂しそうな顔で笑う。

彼も運用係として携わっているシステムだ、できれば自身で対応したかったのかもしれない。責任感の強い人だなと美都は思った。

「では議事録ができたらメールでお送りいたしますね。ご不明な点があればご連絡ください」

業務的に返事をすると、大須賀は今度こそ焦った顔をして「あのっ!」と声をあげた。

「その……喜咲さんって、今夜、お忙しいです? もしよかったら食事に行きませんか? 今度は……その、ふたりで」

予想外の申し出に、美都は驚いてぱちぱちと目を瞬く。

営業でもない自分が顧客とふたりで食事に行っても問題ないだろうか。一旦、筧に確認した方がよさそうだ。

だが、そもそもそれ以前に――。

(哉明さんはどう思うだろう……?)

業務後に男性とふたりきりで食事をしたら、浮気と間違われるかもしれない。婚約して早々、不貞を疑われては大変だ。

(その辺のルール、全然決めてなかったな)

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