執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
異性との食事や仕事の仕方について、今後哉明と検討していく必要がありそうだ。

顎に手を添え、むーんと考え込んでいると。

「しばらくは早めに帰った方がいいんじゃない?」

穏やかな声に振り向くと、ちょうど別件の会議を終えた筧が戻ってきたところだった。

美都の肩に手をぽんと置きながら、大須賀にぺこりと会釈する。

「こいつ、一応新婚なので。仕事が溜まってないときは、早く帰れってみんなで言ってたところなんです」

その瞬間、大須賀の表情が強張る。

「喜咲さん、ご結婚されたんですか……!?」

「入籍はまだ――」

「でも婚約はしたんだよな」

美都は諸々もの申したくはあったが、結局は堂々巡りするのだろうとあきらめ「はい」と頷いた。

「……そうなんですね! おめでとうございます。でしたら、ぜひ早く帰って差し上げてください」

大須賀が少々不自然に頬を引きつらせながら笑う。きっと驚いたからだろう。美都は「お気遣いありがとうございます」と頭を下げた。

「そういえば、会議の前に本庄主任と会ったんだが、主任は喜咲の婚約を知っていたみたいだったな。話したのか?」

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