執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
「こんなに丁寧に出迎えられるとは思っていなくて、驚いた」

「実母も義母も、私が家に帰るとこうして出迎えてくれていたので。……ですが、迷惑でしたらやめます」

「いや」

靴を脱いで部屋に上がってきた哉明が、美都の体をそっと包み込む。

「ただいま」

あらためてそう言って、美都の背中を丁寧に撫でた。まるで壊れ物にでも触れるかのような力加減に、美都は戸惑って立ち尽くす。

「美都は小さい頃から今まで、ずっと大事に育てられてきたんだな。俺も大事にしないと」

この抱擁は、哉明なりの妻への労いなのかもしれない。だとしたら跳ねのけるのは違う気がして、美都は腕の中で大人しくする。

「一緒に暮らしてそうそう、こんな時間になって悪い」

「いえ」

お酒の香りはしない。遊んでこの時間になったわけでもないのだろう。

「こんな時間までお仕事、お疲れ様です」

腕の中で答えると、哉明はふっと柔らかな笑みを残して美都の体を解放した。

体を取り巻いていたぬくもりがほんのり残る。

なんとなく会話を続けたくなって、リビングに向かう哉明のあとについていった。

「お仕事、しばらく忙しいんですか?」

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