執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
哉明はラフなジャケットにテーパードパンツ。中に着ているホワイトのカットソー以外は基本的にブラックで、威圧感と気高さがびしびしと伝わってくる。

美都は淡々とした表情のまま、相変わらず哉明は格好いいなあとひそかに息をつく。

一方の哉明は、美都の全身をするりと眺め、腰に手を当てた。

「なにからなにまで美しいな、お前は」

美都はホワイトのワイドパンツにモスグリーンのタンクトップ、目の粗いベージュのカーディガンを着ている。

カゴバッグは杏樹が選んだものだ。かわいすぎて美都的には少々恥ずかしいが、これくらいはオシャレしなさいとアドバイスされたので大人しく従うことにした。ファッションに関しては間違いなく杏樹が正しい。

「……お気遣いありがとうございます。ですが、褒めすぎです」

失礼にならないようなコーディネートはしたつもりだが、美しく見えるほど着飾った覚えはない。

しかも、哉明の表情はごく普通。照れも作り笑顔もせずしれっと褒めるので、本心がよくわからない。

「普通の格好です」

「その自然体が美しいって言ってるんだ」

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