執着心強めな警視正はカタブツ政略妻を激愛で逃がさない
そっと目を閉じて思考を放棄した。哉明は自分をどう思っているのだろう。なにを思って綺麗だとか美しいだとか口にするのだろう。

聞くに聞けずもやもやとした気持ちだけが募っていく。

哉明の運転する車に乗り込み、目指すは表参道方面。哉明御用達のインテリアブランドのショップがあるらしい。

連れていかれたのは、高級感あふれる家具や雑貨が並ぶショールームだ。

事前にアポイントを取っていたのか、男性スタッフが入口で待ちかまえていて、哉明の顔を見るなりにこやかにお辞儀した。

「獅子峰様、ようこそお越しくださいました。新居の住み心地はいかがでしょう?」

胸のネームプレートには『代表』の文字。どうやら彼がこの店舗のオーナーらしい。

「ああ、満足しているよ。あのときはたいした時間もないのに無理を言ってすまなかった」

「とんでもございません、全部屋のコーディネートを任せていただいてありがとうございました。当社のデザイナーも喜んでおりました」

そんなふたりのやりとりを大人しく眺めていた美都。

すると突然、哉明が腰に手を回してきたので、驚いて硬直した。

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