その甘さ、危険度MAXにつき。

ふと由希子さんが腕時計を確認した。


「もうこんな時間!恵、仕事抜けて来たんじゃないの?」

「そうだった……!」


由希子さんの言葉に、お母さんは自分のスマホで時間を確認していた。


「晴、また連絡するね。怪我には気をつけるのよ!」


そう言ってお母さんはバタバタと大急ぎで帰って行ったんだ。



「ほんと、昔から変わってないわね」


ふぅ。と、息をつく由希子さんに、少し笑ってしまった。

お母さんと由希子さん。
きっと由希子さんの方がしっかりしてたんだろうなぁって想像できたんだもん。



「私もまだやる事が残ってるから、学園に戻るけど何かあったら言うのよ?」

「はい。ありがとうございます」


由希子さんもまた、お母さんに続いて病室を後にした。

その瞬間、無音と言って良いほどシーンと静まり返る。


あたしの呼吸ですらうるさいと思うくらいに。

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