その甘さ、危険度MAXにつき。

「うるさい。ずっと起きてたわ」


少し気怠るそうにベッドから起き上がった男の子は、あたしと向き合う体制になった。



「アンタさ、女なの?」


ドクンと心臓が嫌な音を立てた。


黒髪に、キラリと光るピアス。

前髪から覗く鋭い眼差しが、あたしを恐怖へと(いざ)なう。



「ち、ちが……う」

「起きてたって言ってんだろ。“あたし”って言ってたし。嘘つくんじゃねーよ」

「……っ、」


まるで首でも締められてるかのように、喉が苦しい。上手く呼吸ができない。心臓が痛い。

やばい、やばい。バレた。


バレたら即退学なのに。


お母さんにも迷惑かけちゃう。

どうしよう……。




「女が男子校に来るとかフィクションでしかねぇと思ってたけど、実際にあんだな。そんなこと」


やばい。やばい。

どうにかして誤魔化さなきゃ。


でもどうやって……?



「あ」と、声が聞こえた瞬間───

男の子の手があたしの頬に触れた。


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