弾けて、レモネード。
初恋ゼリー

プロローグ

小さい頃から独りぼっちだった。
父は居ない、浮気をして出ていった。
母はとっても優しいけど、毎日私達の為に働いていて、最近なんてほとんど喋っていない。でも、母も私も、そんな私達が不幸だなんて思わなかった。

高校生になって、バイトを始めた。ただ、高校の規則やら時間帯やらで中々良い仕事が見つからず、結局雇って貰えそうな所は……昔ながらの、モダンな雰囲気の喫茶店くらいだった。



カラン…

檸檬「……すみません」
店長「おっ、この時間という事は……」
檸檬「あ、えと…きょ、本日、アルバイトの面接を受けに来ました!神林 檸檬(カンバヤシ レモン)です!」
店長「まぁまぁ…これまた、最近の子の名前は凄いねぇ………」
檸檬「え?…あ、あはは……良く言われます」
店長「でも儂はメッチャ好きですよ」
檸檬「…!」
店長「ふむ………では採用という事で、早速今日は仕事を覚えて貰おうかな?」
檸檬「………えっ?えと………その、面接とか………採用??」
店長「ふむ。初々しくて良いと思いますぞ」
檸檬「え、えっと!ありがとうございます!」
店長「ふぁっふぁっふぁ、それでは早速エプロンに着替えて来て貰おうかの」
バッサァ
店長「ほれ」
檸檬「いつの間に…」
店長「まぁ人手不足じゃったし、あまりにも性格がねじ曲がった様な奴じゃなかったら採用するつもりじゃったからの」
檸檬「な、なるほど!では、失礼します!」
タッタッタ……
店長「ふむ……そろそろもう1人来るかの」
カラン………
?「えっと…こんにちは」
店長「おっ、来たかの……ってお前さんじゃったか」
?「……なんか残念そう?」
店長「ふぉっふぉ、すまないのぅ。今日はバイトさんが2人来る予定での。もう1人は…」
カランカラン
??「すんません!遅れましたぁ!」
店長「おぉ、来たかの。」
??「はぁ、はぁ、はぁ………って、伽香(カカオ)!?」
?「ちょ、おま……いい加減名前で呼ぶのやめろよ」
??「えー、かっけぇじゃん!カカオ!」
?「……まぁコーヒーは好きだけどさ」
店長「ほい、バイトの若者」
??「あっすみません!面接ですよね!?」
店長「ほい、ここの制服じゃ」
??「え?」
店長「今日から仕事教えるから着替えな」
??「え!?いいんすか!」
店長「今は人手不足じゃからのぅ」
??「分かりやした!!」
タッタッタ
?「店長、あいつめっちゃうるさいですよ」
店長「見りゃわかるわい」
檸檬「すみません!」
?「ん?」
店長「おぉ、サイズはちとデカいが…まぁ似合っとるから大丈夫じゃろ」
檸檬「わぁ、ホントですか!……そちらの方は?」
店長「おお、彼はうちの店のー……常連じゃよ」
檸檬「そうなんですね!神林 檸檬と言います!よろしくお願いします!」
?「……榎汐さん、よろしく。俺は星川 伽香(ホシカワ カカオ)。…出来れば星川って呼んで」
檸檬「えー!伽香、良いじゃないですかあ!」
伽香「うーん……俺的にはあんまり、好きじゃないんだけどね」チラ
店長「ふぉっふぉっ………良い名前じゃろが」
檸檬「……?」
伽香「…ネームプレート、見てみろよ」
チラッ

星川 豆太(ホシカワ マメタ)

檸檬「………え、親子??」
店長「そじゃよ」
檸檬「息子さんにもキラキラネーム付けてるじゃないっすか!全然珍しく無かったんじゃないですかぁ!?」
ガチャ
??「着替えました!」
店長「お、君はサイズぴったりだね」
伽香「あいつは俺の幼なじみ、佐藤 茶葉(サトウ サヨウ)。……ちょっとチャラいとこあるからセクハラされたら言ってね」
茶葉「なんか変な事吹き込んだでしょー!気にしないでねー!」
檸檬「あ、あはは」
茶葉「改めまして、僕は茶葉!君は?」
檸檬「あ、神林 檸檬です!」
茶葉「神林ちゃんね。よろしく!」
檸檬「よ、よろしくお願いします」

???「………っ」

𖥞

……なんやかんやで、無事にアルバイト生活1日目を終えられたワケだけども…なんか騒がしかったな……
檸檬「いやー、それにしても………」
(星川さん、今までに会った人の中で1番かっこよかったな………えへへ、その内仲良くなれちゃうかも………なんて)

これから、私のアルバイト生活が始まる。
そう、この時の私はまだまだ呑気な事しか考えていなかった。…哀れな事に。
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