甘いきみは、私の心を離さない
機械音が響き渡る朝の時間

耳障りな音をなくして、再度眠りにつこうとする

だが、それすら許されないのが我が家だ

まぁ、我が家と言ってもシェアハウスなんだけどね

すぐさま詩菜(うな)による大声人力アラームが響く

「あぁー、うるさい」

「お、起きたじゃん」

朝から聞く音量ではないと思いながらカーテンを開けると眩しい光が目に入る

それと同時に香ばしい香りが鼻をくすぐる

ベッドの上で大きく伸びをして、リビングへ向かう

私の鼻をくすぐっていたのは朝食のトーストだった

上からベーコンを乗せて完成した朝食は食欲をそそる

全員が席に着くと詩菜をはじめに挨拶が響く

「「「「「いただきます」」」」」

「ん~!たまらん…!」

やっぱり朔玖(さく)の作るご飯がいちばん美味しい

そんなこんなで朝を済ませて、それぞれ学校へと向かう

私と詩菜は同じ学校のため一緒に向かう

七華(なのか)はさ、彼氏とか作んないの?」

ふと、そんな質問をされた

「んー、作らないわけじゃないけど、できても…ね」

「ま、そうよねー」

私たちは芸能人であり暴走族だ

どちらとも有名…だと思う

芸能人のときの名前は(はな)

暴走族の名前は七星(ななほし)

「おい、お前」

急に声をかけられ振り向くと、知らない男が立っていた

綺麗な容姿だ

傷んでいない真っ黒な髪に映える白い肌、バランスよく配置された顔のパーツ

それらを支える長い脚とスリムな身体

完璧だ、モテるんだろうな

そんなことを思っていると何故かこんなことを言われた

「ちょっと助けてくれないか?」

………ん?

待って待って

心の中が騒ぎ出す

助けるって何?何すればいいの?ってかまず誰?

疑問で胸がいっぱいになった頃に思い出した


コイツ、藍星(らんせい)の奴だ
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop