転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
22.三日後の朝
俺が目を覚ましたのは、三日後の朝のことだった。
(……眩し……ったく、誰だよ勝手にカーテン開けた奴……)
瞼の向こうの明るさに目を開けた俺は、当然のごとく驚いた。
そこが全く見慣れぬ部屋だったからだ。――アレクの部屋でも、街の宿屋でもない。広さと家具からして、間違いなく貴族の屋敷の一室。
その状況に混乱した俺は、驚きのあまり声を上げた。
「はあっ!?!?」
ベッドからバッと飛び起き、周囲を見回す。
けれどやはり、そこは全くもって見覚えのない部屋で。
「いや……待て待て待て……!」
だいぶ訳がわからない。
いったいここはどこなのか。どうして俺はこんなところで寝ているのか。リリアーナは……瘴気の浄化は? あれからどれくらい時間が経った? ――何一つ思い出せない。
(っていうか、この目覚め方何度目だ……? 最近の俺、意識飛ばしすぎだろ……!)
俺は混乱しながらも、必死に記憶を回顧する。
俺が覚えている最後の記憶は、俺の腕の中で眠るリリアーナの寝顔だが……。
俺は少しの間考えて――数秒が経過した後、ようやく気付いた。
ソファで誰かが寝息を立てている。よくよく見ると、それはユリシーズだった。
「……ユリシーズ?」
その姿を見た瞬間、俺の中の混乱が安堵に変わる。
その感情は多分、迷子の子供が親を見つけた瞬間と同じようなものだっただろう。
俺がベッドの上からユリシーズを見つめると、何かを感じ取ったのか、薄っすらと瞼を開くユリシーズ。
その瞳が俺の姿を捕らえたと思った瞬間――勢いよくソファから立ち上がる。
その三秒後には、ユリシーズが俺の両肩を掴んでいた。