転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
俺は拳を握りしめる。ここで頷いてはいけない、と。
なぜなら俺は知っているからだ。
きっと俺が行っても、何の役にも立たないことを。今の俺では足手まといにしかならないということを。
――だから。
「いや、いい。行かない」
それにきっと、ユリシーズもそう思ってる。
こいつは俺の気持ちを尊重して聞いてくれているが、心の中では俺にとどまってほしいと考えている。
その理由がどうであれ、「今からでも追いかけよう」と言わないのが、その証拠だ。
とは言え、リリアーナが戻るまでの時間を、ただボーっと過ごすわけにもいかない。
「ユリシーズ、リリアーナが戻ってくるまでどれくらいある?」
「順調にいけば一週間かな」
「……一週間」
そんな短い時間でいったい何ができるかわからないが、やるだけのことはやってみたい。
俺は決意し、ロイドに向き直る。
「?」――と、不思議そうに俺を見つめるロイドに、俺は訴えた。
「ロイド、お前の力を見込んで頼みがある。一週間の間でいい、俺に戦い方を教えてくれないか。俺にはお前の持つような魔法の才能はない。お前みたいな身のこなしもできない。でも、今より少しでも強くなれるなら……何でもする」
「え……それ、本気?」
「本気だ」
俺の言葉に、「うーん」と唸り声を上げるロイド。
「言っとくけど僕、人に教えたことなんて一度もないし、指導者なんて向いてないと思うよ? それに戦い方って言ったて……僕は魔法で身体を強化してるんだ。人に教えられるようなものじゃないよ」
「それでもいい! たとえそれが無駄な努力でも……何もしないで諦めるのは嫌なんだ。だから、教えてくれ……!」
そんな俺の強い押しに、ロイドは折れてくれる。
「まぁ、そこまで言うなら……」
「ありがとうロイド! 恩に着る!」
――こうして俺はリリアーナが戻ってくるまでの一週間、ロイドから教わることが決まったのだった。
なぜなら俺は知っているからだ。
きっと俺が行っても、何の役にも立たないことを。今の俺では足手まといにしかならないということを。
――だから。
「いや、いい。行かない」
それにきっと、ユリシーズもそう思ってる。
こいつは俺の気持ちを尊重して聞いてくれているが、心の中では俺にとどまってほしいと考えている。
その理由がどうであれ、「今からでも追いかけよう」と言わないのが、その証拠だ。
とは言え、リリアーナが戻るまでの時間を、ただボーっと過ごすわけにもいかない。
「ユリシーズ、リリアーナが戻ってくるまでどれくらいある?」
「順調にいけば一週間かな」
「……一週間」
そんな短い時間でいったい何ができるかわからないが、やるだけのことはやってみたい。
俺は決意し、ロイドに向き直る。
「?」――と、不思議そうに俺を見つめるロイドに、俺は訴えた。
「ロイド、お前の力を見込んで頼みがある。一週間の間でいい、俺に戦い方を教えてくれないか。俺にはお前の持つような魔法の才能はない。お前みたいな身のこなしもできない。でも、今より少しでも強くなれるなら……何でもする」
「え……それ、本気?」
「本気だ」
俺の言葉に、「うーん」と唸り声を上げるロイド。
「言っとくけど僕、人に教えたことなんて一度もないし、指導者なんて向いてないと思うよ? それに戦い方って言ったて……僕は魔法で身体を強化してるんだ。人に教えられるようなものじゃないよ」
「それでもいい! たとえそれが無駄な努力でも……何もしないで諦めるのは嫌なんだ。だから、教えてくれ……!」
そんな俺の強い押しに、ロイドは折れてくれる。
「まぁ、そこまで言うなら……」
「ありがとうロイド! 恩に着る!」
――こうして俺はリリアーナが戻ってくるまでの一週間、ロイドから教わることが決まったのだった。