転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
◇
だが、次の日も、また次の日も、俺の魔力は尽きなかった。
浮遊対象の小石が普通のサイズの石になり――持続時間が三分から五分、十分に伸びる中、それでもやっぱりなくならないのだ。
それを見ていたロイドはこう言った。
「狭かった蛇口が少しずつ緩んできてる。とってもいい傾向だよ。でも、まだダメ。魔力の消費速度より体内の魔力生成速度の方が勝ってるから、もっと早く魔力を消費しないと」――と。
(それができないから困ってるんだけど……)
俺は愚痴りたくなったが、でも、愚痴ったところで何も変わらない。
一応魔法の威力は上がっているし、このまま続ければいつか消費速度が生成速度を上回るようになるはずだ。
俺は必死に魔法を使い続ける。
――この三日であっという間に攻撃魔法の精度を上げたユリシーズを羨ましく思いながら……コツコツと。
けれど、やはり俺の魔力は尽きなかった。
ロイドも他に方法を考えてはくれているようだったが、別案は思いつかないようで、ただ時間だけが過ぎていく。
そうして何も進展がないまま、俺はとうとう五日目の夜を迎えた。