転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
「……え。お前、それ何に使うの……?」
恐る恐る尋ねると、満面の笑みを浮かべるロイド。
「もちろん、これで君を縛るんだよ。途中で暴れられたら困るからね」
「――!?!?!?」
俺は戦慄する。
「なっ……、何もそこまでしなくてもいいだろ……!?」
「しないとダメ。手足四本ともベッドに括りつけるからね。あと口も塞がないと。君の叫び声で誰かが駆け付けてきても困るし、食いしばって奥歯が割れるのも防がないと」
「い……嫌だッ! 俺、ちゃんと耐えるから、それだけはやめてくれ……!」
「えー? 今さらそんなこと言っちゃうの? 君が縛られてくれないなら、僕も君の頼みは聞けないよ?」
「……ッ」
(こいつ……鬼畜すぎる……! )
――ああ、だが、こんなことで時間を食っている場合ではない。
俺は、今夜中に片を付けると決めたのだから。
俺は仕方なく承諾する。
「わかった。だがこれだけは約束してくれ。――俺は痛みに気絶するかもしれない。すぐに目を覚ますかもわからない。だから、全てが終わったとき俺が目覚めなかったら、お前がロープを外してくれ。すぐにだ。……俺は、他の誰かにそんな屈辱的な姿を見られるのは……絶対に耐えられない」
「うん、そうだね。僕も、できればそういうのは一人で楽しみたい方だし」
「…………」
ロイドの笑みに、俺の心は不安でいっぱいになる。
俺はもしかして選択を間違えたのではないか? ――と。
(いや……でも、今はロイドに頼るしか……)
俺はベッドに這い上がった。
そしてロイドの手によって……手足をベッドに縛られ、口を塞がれる。
前世の記憶も含め、人生で最も屈辱的な気分を味わいながら……。
――ああ、でも、今だけだ。少しの間だけ……痛みに耐えれば……。
今夜だけ……耐えれば……。
「じゃあ、始めるよ」
その声と同時に、ロイドの両手が俺の身体に触れる。
瞬間、触れられた場所に刺すような痛みが走り――それが全身に広がって……。
「――――ッ!!!!」
あまりの痛みに、声にならない悲鳴を上げる。
そして俺はあまりにもあっさりと、意識を手放したのだった。