転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
27.賭けへの勝利と思わぬ拒絶
俺が目覚めたのは明け方のことだった。
窓から差し込む朝日の眩しさに目を開けると、目の前にあったのはスヤスヤと寝息を立てるロイドの顔。鼻先が触れそうな距離で、気持ちよさそうに眠るロイドの顔のドアップだった。
「――うわッ!?」
俺は慌てて飛び起きる。
どうしてロイドが隣で寝てるんだ。――そう考えて思い出す。
俺は気を失っていたのだ。あまりの痛みに、あっさりと気絶したのだ。
が、こうしてロイドが寝ているということは処置はすべて終わったのだろう。
約束通りロープはすべて外されているし、すぐに気を失ったからか腕にロープの痕も残っていない。
(……これ、成功したのか? それとも失敗したのか? どっちだ……?)
そう考えて、俺はあることに気が付く。
(そう言えば……身体が軽い気がする……)
そう、身体が軽いのだ。
別に今までが不調だったというわけではないのだが、びっくりするほど気分がいい。
つまり、これは……。
「成功……?」
俺は真偽を確かめようと、寝ているロイドの肩を揺り動かす。
「ロイド! 起きてくれ!」
すると、「うぅん」と小さく声を上げ、ロイドはそっと瞼を開ける。
「……あ~……おはよ、……アレク」
「ああ、おはよう――じゃなくて! どうなったんだよ、あれから! 成功したのか!? 成功したんだよな!?」
身体のどこにも痛みはない。倦怠感もない。むしろ軽くなっている――となれば、成功したに違いない。
そう思いつつも、ロイドの言葉を聞くまで安心はできなくて。
俺はロイドの肩を更に揺すり、確信を得ようとした。
するとロイドはうつらうつらしながら、ようやく答えてくれる。
「……ん……成功したよ。……僕って……ほんと……天、才……」
「でかした! お前はほんとに凄い奴だ! まさかこんなに調子が良くなるなんて思ってもみなかったぞ!」
俺は興奮しながらロイドの頭をわしゃわしゃと撫でる。
けれどロイドはよほど疲れているのか、再び瞼を閉じてしまった。
「おい、ロイド? 大丈夫か?」
「ん……。ちょっと……眠いだけ……」
「そうか。そんなに大変だったんだな。本当に、お前にはなんて礼を言ったらいいのか」
「いいよ……別に。……それより……僕……今日…………一日………………寝る……から……」
ロイドはそれだけ言い残し、再び寝息を立て始める。
その寝顔からは少しも邪鬼を感じなくて、俺は意味もなく、ロイドの頭をもう一度撫でた。
「ありがとな、ロイド」
本当に、こいつには感謝してもしきれない。
気絶する瞬間は本当に死ぬのではと思うほどの痛みに襲われたが、こうして全て終わってみれば痛みどころか、かつてないほどの健康体になっているのだから。
「本当に……ありがとな」
俺の隣で死んだように眠るロイド。
その幼い寝顔を見下ろし、俺はこれからの未来に思いを馳せる。
これでリリアーナの役に立てるはずだ、と。
俺はラスボスになんて絶対になってやらないぞ、と。
「さて、と。じゃあまずは、ユリシーズに話をしにいかなきゃな」
(まぁ、間違いなく怒られるだろうけど……)
――俺はユリシーズに怒られる覚悟を決め、部屋へと向かった。
窓から差し込む朝日の眩しさに目を開けると、目の前にあったのはスヤスヤと寝息を立てるロイドの顔。鼻先が触れそうな距離で、気持ちよさそうに眠るロイドの顔のドアップだった。
「――うわッ!?」
俺は慌てて飛び起きる。
どうしてロイドが隣で寝てるんだ。――そう考えて思い出す。
俺は気を失っていたのだ。あまりの痛みに、あっさりと気絶したのだ。
が、こうしてロイドが寝ているということは処置はすべて終わったのだろう。
約束通りロープはすべて外されているし、すぐに気を失ったからか腕にロープの痕も残っていない。
(……これ、成功したのか? それとも失敗したのか? どっちだ……?)
そう考えて、俺はあることに気が付く。
(そう言えば……身体が軽い気がする……)
そう、身体が軽いのだ。
別に今までが不調だったというわけではないのだが、びっくりするほど気分がいい。
つまり、これは……。
「成功……?」
俺は真偽を確かめようと、寝ているロイドの肩を揺り動かす。
「ロイド! 起きてくれ!」
すると、「うぅん」と小さく声を上げ、ロイドはそっと瞼を開ける。
「……あ~……おはよ、……アレク」
「ああ、おはよう――じゃなくて! どうなったんだよ、あれから! 成功したのか!? 成功したんだよな!?」
身体のどこにも痛みはない。倦怠感もない。むしろ軽くなっている――となれば、成功したに違いない。
そう思いつつも、ロイドの言葉を聞くまで安心はできなくて。
俺はロイドの肩を更に揺すり、確信を得ようとした。
するとロイドはうつらうつらしながら、ようやく答えてくれる。
「……ん……成功したよ。……僕って……ほんと……天、才……」
「でかした! お前はほんとに凄い奴だ! まさかこんなに調子が良くなるなんて思ってもみなかったぞ!」
俺は興奮しながらロイドの頭をわしゃわしゃと撫でる。
けれどロイドはよほど疲れているのか、再び瞼を閉じてしまった。
「おい、ロイド? 大丈夫か?」
「ん……。ちょっと……眠いだけ……」
「そうか。そんなに大変だったんだな。本当に、お前にはなんて礼を言ったらいいのか」
「いいよ……別に。……それより……僕……今日…………一日………………寝る……から……」
ロイドはそれだけ言い残し、再び寝息を立て始める。
その寝顔からは少しも邪鬼を感じなくて、俺は意味もなく、ロイドの頭をもう一度撫でた。
「ありがとな、ロイド」
本当に、こいつには感謝してもしきれない。
気絶する瞬間は本当に死ぬのではと思うほどの痛みに襲われたが、こうして全て終わってみれば痛みどころか、かつてないほどの健康体になっているのだから。
「本当に……ありがとな」
俺の隣で死んだように眠るロイド。
その幼い寝顔を見下ろし、俺はこれからの未来に思いを馳せる。
これでリリアーナの役に立てるはずだ、と。
俺はラスボスになんて絶対になってやらないぞ、と。
「さて、と。じゃあまずは、ユリシーズに話をしにいかなきゃな」
(まぁ、間違いなく怒られるだろうけど……)
――俺はユリシーズに怒られる覚悟を決め、部屋へと向かった。