転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜

13.前世の記憶とフラグと布石

 その夜、俺は懐かしい夢を見た。

 俺が大学に入った年の、夏休みの夢。
 部屋でぐーたらアイスを食べていたら、妹が「パソコン貸して」と言ってきたときのことを。

 妹にそう言われた俺は「勝手に使え」と許可を出し、引き続きベッドでスマホを見ていた。
 が、不意に妹の方を見ると、背中越しのパソコン画面に何やら地図のようなものが見えて、ほんの少し興味が沸いた。

「何調べてるんだ?」

 そう尋ねると、妹は面倒くさそうに答える。

「ゲームの攻略サイト」
「へえ? お前がそういう系のゲームやるの珍しいな。いつもは大体、ほら、何だっけ。乙女ゲーム? とかだろ?」
「うるっさい。これも乙女ゲームだし。ってか、人がどんなゲームしようと勝手でしょ」
「まぁそうだけど。乙女ゲームにも攻略サイトとかあるんだな? ちょっと意外」
「はぁ? 今の発言、世界中の全乙女を敵に回したからね。乙女ゲームって言っても色々なんだから。今やってるのはシミュレーションRPG型の乙女ゲームで、フィールド探索とか戦闘もあって色々ややこしいの!」
「ふーん」

(フィールド探索に戦闘ねぇ……。どれどれ……)
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