転生したら乙女ゲームのラスボスだった 〜愛する妹のためにラスボスポジション返上します〜
俺が興味本位で画面を覗くと、そこには迷路のような地図が表示されていた。
その複雑さに、俺は思わず声を上げる。
「はっ? 地下五階まであるじゃねぇか! ド◯クエかよ」
「だから言ってるでしょ、ほんとに難しいんだってば。これは鉱山道の地図なんだけど……さっき中に入ったら、瓦礫が落ちてきて中に閉じ込められちゃって」
「ええー。閉じ込められイベントと言えば体育館倉庫ってイメージなんだけど」
「それは古すぎでしょ。――とにかく、最下層にいる魔物を倒さないと外に出れないみたいで。でも思ったより広くて……」
「つまり、迷ったってことか」
「……まぁ、そう。だから仕方なくこうして攻略サイトを……。私のポリシーには反するけど、背に腹は代えられないから」
「へえ。ちょっと俺にも見せて」
「いいけど……」
確かに一見すると、ゲームをしなれていない人間には難しい地図だろう。
ワンフロアがななかなに広い上、階段が各フロアに四つ以上存在している。
そして当然のことだが、正解の道は一本だけ。階段を一つでも間違えれば最下層にはたどり着けない。
とはいえ他にギミックはなく、回復ポイントもそれなりにある。
難易度的には簡単な部類だろう。
「うん、大丈夫だ。確かに広くて複雑に見えるけど、実際はそんなに難しくない。途中のアイテムも拾っていくなら、まずここの階段を下りて、そのあと右下まで進んで一度上がってから――」
「ま、待って! 今メモするから……」
「メモ? スイッチ持ってこいよ。見ながらやった方が早いだろ」
「えっ? あ、うん。すぐ取ってくる!」
こうして俺はその後も、何だかんだ妹が鉱山を脱出するまでゲームに付き合って……。