運命の彼と極上の愛を〜夫の不倫の証拠集めの為に雇った探偵の彼は、沢山の愛で私を満たしてくれる〜
(最低……信じられない……)

 家に上げて、私がいつも綺麗にしている部屋の中で、他の女に愛の言葉を囁きながら共に乱れ合う夫。

 床には脱ぎ捨てられた服が散らばっている。

 リビングは愚か寝室でもしたのかもと思うと気持ち悪くて吐き気がする。

 そんな中でも私は手にしていたスマホで床に散らばっている服の数々と抱き合っている二人の姿を写真に収め、音を立てないように後退ると静かに靴を履いて玄関のドアを開き、鍵を締めてその場から逃げるように離れて行った。

(どうしよう……私、あの家に帰りたくない……貴哉と顔を合わせるのも嫌……)

 完全に行き場を失ってしまった私はどうすればいいのか分からず途方に暮れる。

 ひとまずどこかで時間を潰そうと駅前まで歩いて行く。

(カフェにでも入ろうかな……でも、その後はどうしよう……それならネットカフェに入った方がいいのかな)

 駅前に着いた私は今日の夜をどこで過ごせばいいか悩んでいると、

「小西さん?」

 コンビニ袋をぶら下げて歩いて来た男の人に声を掛けられた。

(誰……?)

 悩み、俯いていた私が顔を上げて声の主に視線を移すと、

「杉野さん……?」

 声を掛けてきたのが杉野さんだと分かり安堵した。
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