運命の彼と極上の愛を〜夫の不倫の証拠集めの為に雇った探偵の彼は、沢山の愛で私を満たしてくれる〜
「素敵なお部屋ですね」

 靴を脱いで廊下を歩いて行くと、ソファー、オーディオ機器、TVだけがレイアウトされ、色は白と黒で纏められたシンプルなコーディネートのリビング。

 最上階ともあって窓からの景色も素敵なものだった。

「適当に座ってて。今何か飲み物持っていくから」
「あ、あの、お構い無く……」
「いやいや、お客様に何も出さないとか失礼でしょ。コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「あの、コーヒーで」

 どちらが良いかと問い掛けられて私が答えたのはコーヒー。

 だけど本当は、コーヒーはあまり好きじゃない。飲めない訳じゃないけれど、少し苦手だった。

 でもカフェで会う時杉野さんはいつもコーヒーを頼んでいるからきっと彼はコーヒーが好きなのだろうと予想し、わざわざ紅茶を淹れてもらうのは申し訳なく思ったからコーヒーと答えたのだけど……。

「はい、どうぞ」
「え……あの、どうして?」
「小西さん、カフェではいつもコーヒー頼んでたけど、本当は苦手なんじゃない? だから紅茶にしてみたけど、お節介だったかな?」

 彼は私がコーヒーが苦手な事を見抜いていたようで、わざわざ紅茶を淹れてくれたのだ。

「すみません、ありがとうございます。杉野さんの言う通り、コーヒーは苦手なんです。カフェでも紅茶を頼もうかなって思うんですけど、つい相手に合わせてコーヒーを選んじゃって……」
「そっか、それなら良かった。ミルクで良かった? レモンティーにも出来るけど」
「ううん、ミルクで大丈夫です! 本当にありがとうございます」

 気遣いが嬉しくて、感動した私は向かい側に座った杉野さんに深々と頭を下げて感謝の言葉を述べた。
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