運命の彼と極上の愛を〜夫の不倫の証拠集めの為に雇った探偵の彼は、沢山の愛で私を満たしてくれる〜
 その夜、帰ってきた貴哉は綺麗に掃除され、様変わりしたリビングを前に言葉を失っていた。

「……おい、璃々子」
「何?」
「何だよ、これ」
「何って? 今日はお天気も良かったし、久しぶりに色々変えたいなって思って、掃除したんだけど?」
「…………」

 貴哉は多分、焦っているのだ。
 昨日不倫相手を自宅に招いた後で私が急に大掃除をしたから。

 私は聞かれても何食わぬ顔をし続けて夕御飯の用意を続けていく。

 貴哉は何か言いたげだけど、それ以上何も言っては来ない。

 そのままお風呂に入っていったので脱ぎ捨てられたスーツを片付けていると、またしてもポケットから何かが出てきた。

 今度は高級ホテルに泊まった時の領収証だった。

(……貴哉がこんなところにしまったままにするとは思えない……また、相手の人が入れたのね)

 溜め息を零しながらその領収証をエプロンのポケットにしまった私はスーツを片付けて再び夕御飯の準備を整えていく。

 そして、お風呂から上がった貴哉と向かい合って食事をし終えた私が片付ける為に食器を運んでいると、

「璃々子、煙草買ってきて。買い忘れて来た」

 帰りに買って帰るのを忘れたらしい貴哉は私に煙草を買って来るように言い付けてきた。

「……私、これから片付けないとならないんだけど?」

 昨夜、杉野さんとコンビニに買い物に行った事を思い出した私は同じ男でもこんなに違う事を嘆き、片付けを理由に断ってみると、

「口ごたえすんな! いいからさっさと行って来いよ!!」
「きゃっ!」

 手にしていたテレビのリモコンを私の脚に向かって投げつけながら、怒鳴り声を上げた。
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