詩に恋を
息をつく間もなく、


私たちは劇の片付けをしていた。


「ようメイド。」


あのギターの彼だった。


「あの、私メイドって名前じゃないんですけど。」


「だって名前知らねーし。」


「愛理。谷川愛理です。そっちは?」


「谷川か。あ、俺は村里耕也。」


「へー。あっ!なんで劇の時間わかったの?」


「廊下でしゃべってる人がメイドがなんちゃらって聞こえたから、もしかしたらお前の出るやつかなーと思って行ってみた。」


「盗み聞き?最低ー。」


「ちげーよ。聞こえただけー。」


「でも…あのとき笑ってくれてありがと。」


「あー、だって『私メイドです!』って…。そんなの見りゃ誰でもわかるって。」


村里くんは思い出して爆笑を再開した。


「そんなに笑わなくても…。」


「ゴメンゴメン。あ、そろそろ俺やることあっから。またな!」


そう言うと村里くんは去って行った。





…またな?今、またなって言ったよね?


なんか、嬉しかった。

















この時点で私は、君が好きだったのかもしれないね。


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