人生を諦めた私へ、冷酷な産業医から最大級の溺愛を。

病室



会社から近い、総合病院。
精神科病棟の個室で1人、ベッドに潜り込んでいた。


窓はあるけれど、開かない。
扉も二重になっているらしく、先生か看護師さんが来ないと、外に出られない。


「………」


実はここに来てから、かなり落ち着いていた。


大体、ベッドに横たわるなんて…何年ぶりだろう。
そのくらい、まともに寝ていなかった。

決してふかふかとは言えないけれど、柔らかな布団に…ふと涙が滲む。


自殺未遂を起こしたあの日のこと。
それを今思い返すと…自分のことなのに身が震え上がる。


精神を壊すって、本当に怖い。

自分でも何をしているのか分からないし、何を考えているのかも分からない。



…大好きなプログラミングの仕事だったのに。
自分を見失うくらい、自分を壊していた。


< 14 / 44 >

この作品をシェア

pagetop