人生を諦めた私へ、冷酷な産業医から最大級の溺愛を。
死なせない
バタンッ
「……」
玄関の扉が開く音で目が覚めた。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
目を開けると、視界にジャスティスの尻尾が入る。
お尻を私の顔に向けて座っていた。
「黒磯さん、ジャスティスただいま……って、電気も点けずにどうしたの」
帰って来た日比野先生は電気を点けて、私の元に歩み寄って来る。
ソファに横たわったまま動けない私の顔を見て、先生は驚いたような声を上げた。
「え、黒磯さん!? 本当にどうしたの!?」
涙は沢山流れたはずなのに、今もまだ零れ続けている。
先生は横たわっている私の体を抱きかかえ、優しく抱き締めてくれた。
「大丈夫? 今の感情を教えて」
「………」
伝えたくても言葉が出てこない。
「………」
手に持っていたスマホを開き、サービス終了と書かれた画面を先生に見せた。
「…サービス、終了?」
小さく頷き、今度はメモ帳を開く。
【私が力を注いだパズルゲームです。サービス終了していました。辛くて、苦しい】
「黒磯さん…」
私からスマホを取り上げ、更に力強く抱き締めた。
温かい先生の体に、また涙が零れる。
「先生…死にたい…」
退院して、初めて出た声。
しかしそれは、心からの悲鳴だった。
「辛い、苦しい…」
「黒磯さん!!!」
先生は私の名前を叫びながら、少し荒くキスをした。
啄ばむようなキスに、心臓の鼓動が早くなる。