人生を諦めた私へ、冷酷な産業医から最大級の溺愛を。



「日比野先生」
「ん?」
「医師会から連絡がありました。あのゲーム会社の産業医から外れたそうです。他が決まったらまた書面にてご報告頂けるそうです。取り急ぎご連絡まで」
「……そうか。ありがとう」





…終わった。


やっとあの会社から離れることができる。






由香里の居たシステム部は本当に酷かった。



毎月残業が100時間超えなんて有り得ない。

産業医の職場巡視で毎回、システム部の労働状況を見直せと指示を出していたにも関わらず、一切改善されなかった。



精神を壊した人間は面接を受けさせればいい。

あの会社はそんなスタンスだった。




僕の元に来る頃には壊れ切っている人が殆ど。

…本当に…酷い話だ。





…今でも脳裏に焼き付いている、由香里の死んだような目。

もう二度と…あんな表情はさせたくない…。



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