人生を諦めた私へ、冷酷な産業医から最大級の溺愛を。
蘇る感情
「どう、今日は楽しかった?」
「……」
「もう少し生きてみようと思った?」
「……」
初回面接をした日からずっと平日の14時に、日比野先生の面接を受けていた。
毎回聞かれる内容は同じ。
「楽しかったか?」
「生きようと思ったか?」
「趣味は見つけたか?」
いつも、日比野先生は同じことばかり聞いてくる。
そして私が黙り込んだまま俯いていると
「本当、人生楽しくなさそう。僕は黒磯さんみたいな人生を送りたくないわ」
と言って、暴言を吐く。
だけど、そんな暴言に対して
本当に何も感情が湧かない。
いつも無言を貫く。
日比野先生と話すことなんて何もない。
そう思い、そんな面接を毎回繰り返していただけなのに…。
日比野先生の面接が始まって、3か月が経過した頃。
私の中で、変化が訪れた。
「…おなか、空いた」
最近……私が忘れていた感情たちが、沸々と蘇り始めていたのだ…。